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【タイ】「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」4・シニアが見たバンコク生活
配信日時:2015年5月17日 13時00分 [ ID:1910]

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ソンクラーン期間中の水かけ祭り。

 2015年5月17日、シリーズ「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」を定期的にお届けする。JICAシニア海外ボランティアとして、国立パトムワン工科大学で、就職支援の指導に当たられている平野 正和さんに「シニアが見たバンコク生活」について執筆してもらった。

 バンコク市内にある国立パトムワン工科大学で就職支援をしています。バンコクについては詳しく承知されている方が多いと思いますが、66歳のシニアが見た光景を紹介します。

 日本人が約10万人(注)住んでいると言われ、その中心部のスーパーでは日本と全く同じ商品が並んでいます。国内と同じ生活が出来ると言われるのは納得です。但し、価格は1.5倍もするので、お金があればです。日本人の多い地区を外れると、当然ですが周りはタイ人ばかり。生活費も日本人の多く住む地区の三分の一程度で済みますが、少し緊張を伴います。つまり、難しいタイ語を理解しない限りコミュニケーションが取れないのです。英語はほとんど通じないため、食事の注文は指さし、スーパーの商品表示が読めない、レジで「会員カードは」と聞かれたような気がしても答えられない。でも、ここで頑張らないと引きこもりになってしまいます。

 さて、4月13日から15日はソンクラーンと言うタイの正月で、1週間ほどの休日になります。タイの人はどのような日を過ごすのでしょうか。バンコクで働く人の多くは地方出身なので、激しい帰省ラッシュが起こります。大学の若い先生も、車を12時間運転して400キロメートル離れた故郷に帰りました。事務職の女性は飛行機で。列車の路線は少なくバスは疲れるため、多くの人が車を使います。テレビでも連日渋滞状況を伝えていますが、その混み様は日本の比ではありません。

 一方、車が減ったバンコクの繁華街では、ある祭りが始まります。夕方になると、大きな水鉄砲を肩にかけた大勢の子どもや大人たちが、あちこちの道路を埋め尽くしていきます。そこで、数千人単位がお互いに、また通りかかりの見ず知らずの人にいきなり水をかけ始めるのです。さらには、ホースや、走るトラックの荷台に乗せたドラム缶から道行く人に浴びせます。水を補給するタンクも用意されていて、ずぶ濡れの無礼講状態です。テレビでも、ワイドショーよろしくレポーターが氷水をかけられ絶叫。何も知らない人にとっては信じられない状況が展開されます。また、白いパウダーを体に塗るパターンもあり、若い女性に手で丁寧に塗りつけるセクハラまがいのことも横行します。走行中の車やバイクも襲われるため、バランスを失ったドライバーが事故を起こす事も多く、お祭りの飲酒運転も相まって、この期間に全国で300人余りが死亡するという、とんでもないお祭りです。大型店舗前では演歌ショーみたいな舞台が設営され、夜中まで大音響を響かせています。本来は仏像に水をかけて清めるおごそかな儀式だったそうですが、どこでこうもエスカレートしたのでしょうか。穏やかに見えるタイの人たちに意外なエネルギーを見ました。
 
 祭りが終わり、皆さんは職場に帰ってきますが、このスピードがかなりゆっくりです。ソンクランが始まる前、私のいる事務所のお手洗いのペーパーが全て使い切った状態でした。休み明け、いくら待っても補充がありません。他の階を覗いてみると、やはりみな品切れです。担当の清掃作業員が休暇を取っているようなのですが、結局1週間その状態が続きました。事務所の人はそれなりに出勤しているのに、皆さんどうしているのでしょう。祭りに費やすエネルギーとのギャップを感じてしまいます。

注:2015年 海外在留邦人数調査統計によれば 59,270人


【執筆/撮影:JICAシニア海外ボランティア 平野 正和】

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