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【タイ】医食同源 第7回 「美味しく食べるこだわり」
配信日時:2014年6月13日 19時48分 [ ID:598]

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タイ料理 ラープ(ワットポータイ伝統医学校提供)

 2014年6月13日、タイ全土の夜間外出禁止令が解除され私も少しホッとしています。

 さて、今回は美味しく食べるこだわりについて、ご紹介します。食事は身体を作る源です。そう考えると1回の食事にとても重みを感じます。醤油や塩、オイルなど調味料の品質にもこだわる方が増えてきているように、食事は、「素材」とともに「味付け」も重要ですよね。

 レストランで調味料がテーブルに用意され、好みで加えられるようになっているところがありますが、タイでは多くの場合ナンプラー(魚醤)、ナムターン(砂糖)、プリック・ポン(粉唐辛子)、ナム・ソム・プリック(唐辛子入りの酢)の4点セットがテーブルの中央に堂々と置かれ、存在感をかもし出しています。そして、料理が運ばれてくると、皆個人の好みでそれらの調味料を加えていくのですが、これが元の味が分からなくなるほどけっこうな量だったりして、旅行者には驚きのシーンの1つです。

 タイの人は、とてもグルメな国民だと言われています。「食べる」ことに関してとても敏感です。レストランや屋台で注文するときにも、「砂糖抜きで」「唐辛子は5個入れて」「オイルは控えめに」「野菜を多めに」ととても細かくリクエストし、思う味になっていないと作り直してもらうことも。

 屋台ではキッチンの表裏すべてが見えるので、揚げもののオイルの色や、野菜や肉魚の保存状態、食器の洗い方まで細かにチェック。きちんと洗ってあっても、食前には食器をティッシュでさらに各自拭いてから食べるなど、衛生チェックも念入りです。

 タイに来て間もない頃は、日常当たり前に繰り広げられるこのような場面でのお客側の要求にとても驚きましたが、それをいたって普通に受け入れ、お客様のために一生懸命、というよりはさりげなく、でもきちんと叶えていくお店側の対応にも驚きました。一回の食事をいかに気持ちよく、有意義な時間にするか、ということに誰もが積極的なのです。

 そして、さらに感心するのは、どんなに自分で調味料を加えて調節しても、美味しかったらお店の方をとても称えて帰路につきます。「元の料理が素晴らしかった」ことをけして忘れない姿勢。満面の笑みで感想を言われ、嬉しくないシェフはいません。お互いに尊重しあい、認め合う仏教の精神を感じさせるようなワンシーンです。



【タイ医学研究家:宮原由佳(YUTIKA)】

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