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【カンボジア】ビジネス志向の農協を全国にーJICA
配信日時:2017年7月10日 9時00分 [ ID:4432]

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コンポンチャム州での農協フォーラム。肥料会社が農協役員に製品のアピール

 2017年6月21日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo70」に『イチからわかる! JICAプロジェクト 岐路に立つカンボジアの農業 ビジネス志向の農協を全国に』と題する記事が掲載された。 

(記事)変わるカンボジアの農業
 農業はカンボジアの経済を支える産業の一つです。しかし今、この農業をめぐる環境に変化が起きています。 例えば、農業の担い手が減っています。かつ て、国民の8割以上が農業に従事しているといわれたカンボジアですが、農業の就業人口は2008 年の72%から、2013年には64%に、そして 2015年にはついに48%で、5割を切りました。

 都市部近郊では、農地は工場や宅地などとして開発され、農村部の若者は、高い賃金にひかれてタイなど近隣諸国へ出稼ぎに出ています。農地も、担い手も急激に減っているのです。 カンボジアの農産品の近隣諸国との競争力の低さも課題です。カンボジアの農産物、特に主要産品であるコメの中には、カンボジアの農家からベ トナムやタイへと正規の輸出ルートを経ずに持ち出されているものが多くあります。カンボジア国内で適切な精米ができないことや、流通ルートの整備が十分ではないことが原因です。

 つまり、カンボジア産のコメの一部が、タイやベトナムで精米され、それらの国のコメとして世界市場に出ているのです。 これを問題視したカンボジア政府は2010年、 生産から精米、流通、輸出までを包括的に改善 し、2015年までに、精米100万トン以上をカンボジア産米として正規輸出するという目標を掲げた「ライスポリシー」を打ち出しました。しかし 目標は2017年の現在もまだ達成できず、カンボジア産米の非正規な国外流出は、今も続いている 状態だといいます。

●ビジネス志向の農業へ
 こうした課題を解決し、農業を魅力ある産業 にするにはどうしたらいいのか。JICAが支援する「ビジネスを志向したモデル農協構築プロ ジェクト」は、近代的で効率の良い農業の基盤となる、農協システムをカンボジアに広げようというものです。2013年に定められた農協に関する法律に基づき、農協の設立支援、運営のノウハウなどを伝えています。

 現在、カンボジア全国にある農協は約800です。しかし多くで、所得向上につながる共同出荷や農産加工品の生産などビジネスを志向した活動はあまり行われていないといいます。ま た、カンボジア政府が設立を急いだために、農協設立以前からあった信用事業機関がそのまま農協になることも多く、農協運営に関する基本的な知識や経験が不足している状態です。

 チーフアドバイザーの佐藤力さんによると、プロジェクトはタケオ、コンポンスプー、スバイリエン、コンポンチャムの4州を農協モデルをつくるためのパイロットサイトとしていま す。2014年から19年までの5年間にわたる事業ですが、その中からおよそ10の農協が提案したビジネスプランが採用され、一部は5月から開始しています。採用されたビジネスプランは、肥料の共同購入、女性グループ向けの信用事業、トラクターの共同利用、パパイヤやコメの共同出荷と、多岐にわたります。

 佐藤さんによると、農協の数は増えましたが、小規模な農協が多く、農協に参加している人はまだ農家の1割程度です。佐藤さんは「まずはいくつかの農協モデルを作りあげ、農協の意義と効果を実感してもらう。そういう農協モデルづくりの実践をとおして農協指導者を育成できれば、他地域にも広げていくことが可能となるだろう」と話しています。

【編集:AY】

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