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スーチー氏与党が「自爆」、モン州で旧政権側が議席を奪取 ミャンマー補欠選挙
配信日時:2017年4月8日 9時00分 [ ID:4252]

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ヤンゴンの中華街の選挙区では寺院が投票所となっている(撮影:北角裕樹)

 2017年4月8日、アウンサンスーチー外相兼国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)政権が発足して初めての補欠選挙で、NLDの失策を指摘する見方が広がっている。4月1日に行われた補欠選挙では、上下両院の12議席のうち、NDLは8議席を獲得したが、現有議席だったモン州では、旧軍事政権の流れをくむ国民団結発展党(USDP)の候補に敗れた。シャン州やラカイン州でも軒並み少数民族政党に敗北。現有の9議席から1議席減らすこととなり、NLDの選挙戦略の稚拙さがクローズアップされる結果となった。

 NLDが議席を落としたモン州では、同党はいくつもの失敗を重ねた。地元紙ミャンマータイムズなどの報道によると、モン州モーラミャインで建設中の橋について、スーチー外相の父で独立の英雄アウンサン将軍にちなんだ名称とすることをNLDが過半数を占める国会が決議。これを「ビルマ族の押し付けだ」と受け止めたモン族の住民が反発し、約2万人が参加するデモに発展した。「モン族の有権者はNLD政権が自分たちの意見を無視していると受け止めた」とあるミャンマー人記者はみる。

 また、NLDが擁立したエイウィン氏が、地元では無名な落下傘候補であったのに対し、USDPはモン族で地元経済に通じたアウンチーテイン氏を擁立した。当選したアウンチーテイン氏はイラワジ誌に対し「選挙期間の60日中55日を選挙区回りに費やした」と語り、徹底したどぶ板選挙を展開したことを明らかにしている。週刊誌ミッジーマ元編集局長のセインウィン氏は「USDPの候補者選びが奏功した。多くの有権者が党だけでなく候補者を重視して投票した」と解説する。

 NLDはモン州のほか、ラカイン州でも民族主義的色彩の強いアラカン民族党(ANP)のエイマウン議長に敗北した。2015年総選挙で落選したエイマウン氏は、地元フロンティア誌に対して「前回よりも格段に積極的に選挙運動を展開した」と語っている。多数のボランティアを動員して村々を回り、選挙に関心のない有権者に投票を呼び掛ける戦術をとったとされる。このほか、シャン州で争った2議席でもNLDはシャン国民民主連盟(SNLD)に完敗。少数民族地域でのNLDの支持基盤の脆弱さが明らかになった格好だ。

 政権交代を実現した2015年の総選挙では軍事政権を終わらせる熱狂の中で、多数のNLD候補が当選、選挙区の議席の約8割を占める結果となった。当時「NLDから出馬すれば犬でも通る」と言われた選挙戦だった。2016年3月末のNLD政権誕生からすでに1年を経過し、有権者の目は徐々に厳しくなっている。今回の選挙では、捲土重来を期したUSDPや各民族主義政党に比べ、NLDの準備不足が目についた。選挙で政権の座についたはずのNLDが民意を軽視して選挙を甘く見ていなかったか、反省が求められる結果と言えそうだ。

【執筆:北角裕樹】

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