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インド経済展望ーHSBC投信
配信日時:2017年1月24日 17時59分 [ ID:4069]

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インドイメージ

 2017年1月24日、HSBC投信はインド経済展望を伝えた。レポートは、高額紙幣廃止の短期的影響と将来的な効果について、短期的には、現金取引ビジネスにマイナスになるが、電子決済事業にプラスの影響が高いと見ている。

 (レポートの詳細)モディ政権が予想外の高額紙幣廃止を発表してから2カ月以上が過ぎた。その影響全般について最終的な判断を下すのは時期尚早。

 各セクターへの影響について様々な報告があるが、結果はまちまちである。共通しているのは、現金決済の割合が高いビジネス(特に地方)は関連指標が悪化している。他方、携帯電話やクレジットカードによる電子決済が可能なビジネスにはプラスの影響が出ている。

 中長期的には非公式経済の撲滅、税収増に大きく寄与

 高額紙幣廃止は、短期的には新紙幣の流通不足から個人消費が抑えられるなどの悪影響が表れているものの、中長期的には以下のようなプラス効果が見込まれる。

 インド経済の4分の1近くを占めると見られる「非公式経済」が、今後数年間に公式経済に吸収されることが見込まれる。これは大幅な税収増をもたらし、財政支出の拡大を可能にしよう。税務申告されず、いかなる政府機関からの課税も受けず、正式統計に表れない経済活動。「地下経済」とも呼ばれる。

 高額紙幣廃止は、租税法の遵守と課税対象の拡大を促すことが見込まれる。これは財政の赤字縮小に寄与しよう。財政の改善、銀行預金の増加、さらに現金流通量減少のインフレ抑制効果は、金利の低下をもたらすことが見込まれる。

 足元では不動産セクターが打撃を受けており、向こう数カ月間、その影響が続くことが見込まれる。高額紙幣廃止が不正資金の不動産市場への流入を妨げ、不動産取引が減少している。但し、高額紙幣廃止と銀行預金急増を背景に、銀行は住宅ローン金利を引き下げており、不動産セクターはその恩恵を受けることが見込まれる。

 注目される2017年度予算案、高額紙幣廃止の痛みを軽減?

 ジャイトリー財務相は2月1日、2017年度(2017年4月-2018年3月)予算案を発表する予定。

 注目されるのは財政収支目標の設定である。政府は、2016年度予算では財政赤字の対国内総生産(GDP)比を3.5%とする目標値を設定した。2017年度予算案では、財政赤字の目標値をレンジに切り替えることで、歳出ニーズに対応できる余地を広げる可能性がある。

 また、2017年度予算案では、住宅手当や課税基準の合理化などの措置が発表され、高額紙幣廃止の痛みが緩和されることが期待されている。

【編集:高橋大地】

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