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【カンボジア】シハヌークビル港に電子海図ーJICA
配信日時:2017年2月3日 9時00分 [ ID:4067]

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プロジェクトの測量船。この船に音響 測深機を取り付けてシハヌークビル港 周辺の水路測量を行った。JICA提供

 2017年1月20日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo65」に『「海のカーナビ用データ」電子海図をシハヌークビル港に』と題する記事が掲載された。

(記事)『●「海図」とは?
 
 陸上に山や谷や川があるように、海底にも「でこぼこ」があります。ただ、水面に顔を出すほどの隆起でない限り、地上や水面から見ただけでは その様子を把握できず、座礁などの事故の原因にもなります。 海底の地形や水深、施設などを調べて地図にしたものを「海図」と呼びます。海図は、航海の安全を確保するために欠かせない道具です。 特に、外国の船が頻繁に出入りするような国際貿易港では、海図がなければ船は安全な寄港ができず、港の国際競争力は著しく低下します。 カンボジア唯一の国際深水港、シハヌークビル港では長い間、冷戦時代に作成された紙の海図だけを使っている状態でした。それは、冷戦時代前にあったフランス作成の海図と、その後旧ソ連が作成した海図の情報を寄せ集めて再編集したもので、正確さに欠けるうえにアップデートもされておらず、このままではシハヌークビル港の国際的な信頼性が低下 する恐れがありました。 さらに2012年7月以降、基準を満たす新造の客船とタンカーには「電子海図情報表示システム(ECDIS」の搭載が国際的に義務付けられ、国際仕様にのっとった電子海図、つまり「 海のカーナビ用データ」が必要となりました。この動きは、既存の船舶にも広げられる予定で、最新の測量に基づく電子海図の作成が必須となっていきました。そこで、カンボジア政府の依頼を受けたJICAは2013年「電子海図策定支援プロジェクト」に着手しました。

●40年余りを経て再出発した支援
 
 実は、日本がカンボジアの海図作成を支援するのは、これが初めてではありません。 1970年代に、JICAはカンボジアから技術者を招いて、水路測量の研修を半年間実施しました。しかし人材育成は内戦のために中断。その後、1991年に内戦は終結しますが、戦後復興のなかで海図の策定は後手に回り、他国よりも数十年遅れた状態が続いてしまいました。 今回のプロジェクトや、その直前に再開した 水路測量の人材育成事業は、両国が、40年以上前に取り組んだテーマの再チャレンジです。技術の中身は日々進化していますが、「地図や海図をつくる技術は、いつの時代も国の発展の基礎を担う大切なもの」とプロジェクト専門家の穀田昇一さん(朝日航洋株式会社)は言います。

●海上を走る測量技術者たち

 実際、海図をつくるための測量は、机の上のコンピュータでできるものではなく、測量技術者が海の上を縦に横に走り回って実施しました。測量技術者は約半年の間は、毎日のように船に乗っていたそうです。離島に前線基地をつくり、その周辺を何日もかけて測量したこともありました。「どんなに技術が発展しても、実際にその場に行ってみないとわからないことがたくさんある」。穀田さんの言葉です。正確な海図を持つことの意義とその貴重さがよく分かります。 こうして出来上がった電子海図は、今後カンボ ジア政府と、この海図を国際的に管理する英国水路部に託されます。通常は約20年、潮流の速いところではもっと頻繁に情報のアップデートが必要になります。また、カンボジアが国際水路機関(IHO)に未加盟であるという課題も残っています。プロジェクトは今年3月で終了しますが、シハヌークビル港の「海のカーナビ用データ」はその歩みを始めたばかりです。』

 船舶の安全航行には正確な海底地形図も必要だ。日本財団は、GEBCO共同事業として、2030年までに世界の海底地形の解明を行うプロジェクトを実施している。2004年から海底地形図作成の専門家育成を行っており、2016年6月にはモナコ公国で「日本財団-GEBCO海底地形図の未来に関するフォーラム」が開催された。このフォーラムにはアルベール2世大公ほか220人が参加し、2030年までに世界の海底地形を解明するためのロードマップについて議論が交わされた。

【編集:YA】

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