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【カンボジア】全長2215メートルの「つばさ橋」開通から1カ月―JICAカンボジア事務所
配信日時:2015年5月21日 12時40分 [ ID:1936]

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行きかう人たちが車やバイクを停めて、景色を見たり、記念写真を撮ったりする姿がたくさん見られる、つばさ橋(JICA提供)

 2015年5月20日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo45」に、メコン架橋「つばさ橋」(ネアックルン橋梁)についての紹介記事が掲載された。タイトルは『地元に根付く「つばさばし」へ開通から1カ月、変わる風景』。

 つばさばしのたもと、真新しい小さな建物に、赤ちゃんを抱いた女性やお年寄りが集まっていました。ヌオン・ロン医師(60)のクリニックです。これまで、少し離れたフェリー乗り場の近くで開業していましたが、4月につばさばしの近くへ移転しました。

 夫と子どもの体調が悪く、クリニックに付き添ってきたというチップ・ソダーさん(25)は、橋向こうのプレイベン州在住。「橋ができて気軽にこちらへ来ることができるようになったし、夜間でも診てもらえるので安心です」。ロン医師は「橋向こうの患者さんが増えましたよ」と言います。
 
 4月6日、日本の援助で建設された「つばさばし」が開通しました。橋の建設事務所によると、一日の通行量は5,000台前後。開通当初よりは減りましたが、今も行きかう人たちが車やバイクを停めて、景色を見たり、記念写真を撮ったりする姿がたくさん見られます。

 「娘一家がプノンペンの工場で働いているのだけど、橋のおかげで川向うにあるプレイベンの実家に来るのが簡単になります」と話すのは、農家のフン・マンさん(52)。初めて渡るつばさばしで、孫と一緒に記念撮影をしていました。「フェリーは3時間ぐらい待つこともありましたから。有料でしたし。便利なだけじゃなく、大きくてきれいな橋。とてもうれしい」つばさばしは、ホーチミン市へとつながる国道1号線の一部であり、南部経済回廊の物流を担う重要な橋です。実際に物流に変化は起きたのでしょうか。

 プノンペンに駐在する物流会社の担当者は「輸送時間の短縮に加え、これからベトナムからの物流量が増加したり、ベトナムの企業がカンボジア市場に目を向けたりすることが増えていくと思います」と、話しています。

 また、その先、国道1号線沿いのベトナム国境にある街・バベットには、経済特別区があり、多くの日本企業が進出しています。JETROプノンペン事務所の河野将史所長は、バベットで働く日本人からこんな声を聞いたといいます。「橋ができる前、夜間にはフェリーも運航せず、ベトナム国境も閉まるため、バベットは陸の孤島と呼ばれていました。橋のおかげでその閉塞感が薄れ、交通の利便性向上とともに、住む人の気持ちにも変化をもたらしたようです」。
 
 橋ができる前、ここらから少し離れた場所にフェリー乗り場がありました。バイクから大型バスまで、いつも順番待ちの長い車列ができていました。フェリーが廃止された今、乗り場は閑散としていました。フェリー客相手に飲み物や食べ物を売っていた人たちは姿を消しました。「タイへ出稼ぎに行った人が多いよ」と、近くに商店を持つ人が言います。橋の近くへの移転も考え人もいますが、家や土地が1.5倍ほどに値上がりしていて「なかなか手が届かない」。

 23年前からここで食堂を開いているというチュウ・ルエンさん(65)は「橋ができたのは住民として歓迎ですよ。でも仕事はね・・・。旧乗り場付近は再開発されるという噂もあるけど、どうなるか心配」と話してくれました。

 橋ができて風景は変わりました。地域に根づき、多くの人に恩恵をもたらす橋に育って欲しいと願います。

【編集:安麻比呂】

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