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【タイ】素人日本人がタイの農家と協力してコシヒカリの無農薬栽培に成功
配信日時:2015年4月25日 11時00分 [ ID:1838]

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水は目の前にそびえるチェンダオ山から湧きでた小川の水を引く。この山はタイで3番目に大きく、山と周囲は野生動物保護区になっており、許可なく入ることのできない自然が残る。(写真は2年目の田植え直後)

 2015年4月25日、タイ北部でコシヒカリを無農薬で生産しようと孤軍奮闘する日本人を紹介する。

 2010年ごろからじわじわと始まり、現在タイでは空前の和食ブームとなっている。そんな中、2013年2月ごろに一時期タイ産のジャポニカ米不足が起こり、在タイ日本人の家庭にまで影響が及んでいた。タイ産ジャポニカ米のほとんどがタイ北部で生産されているのだが、当時のインラック首相が取り組んでいた米を担保とした融資政策でジャポニカ米生産農家がタイ米生産に切り替えてしまったためだとされる。

 そんな事態になっていた2013年に小宮克久さんが日本からコシヒカリの種籾を持ち込み、タイ北部のチェンマイ県チェンダオ郡で改めて日本の米をタイに根付かせようというプロジェクト「Japanese RICE Project」を始めた。

 「タイでもオーガニック製品が人気になっていますが、生産者と消費者の距離が遠く、名ばかりのケースが多いという気がしています。ですので、正直に育成状況を消費者に見せ、本当に安全であるということを生産段階から把握してもらえることを目指しています」

 農薬を使わず、化学肥料も一切使わない。現地の農家と直接契約をして、タイの気候に合った手法でコシヒカリを育て始めた。しかし、そんなに簡単な話ではなかった。

 まず、委託農家の担当者がタイ米の育て方しか知らない。そして、日本から持ってきた種籾もタイの土地を知らない。自然豊かなチェンダオの野鳥たちも、コシヒカリを狙って食べていってしまう。収穫量が思ったほど増えなかった。

 2年目となった昨年は委託農家もコシヒカリの育て方を手探りながらもわかり始め、1年目に収穫できた種籾もまたタイの土地に合ったものに進化した。

 3年目の今年はさらにいい場所を探しながらの通算8回目の作付けで、ついに同じ面積で獲れるタイ米と同等の量が収穫できた。3年目にしてやっとコシヒカリの無農薬、無化学肥料での栽培に成功したのだ。

 「これまでコシヒカリ特有のイモチ病の発生で無農薬であっても収量が少ないという状態でしたが、今回はタイ米と同じ量が確定しほっとしています。委託農家からまず我々が買い取ってあげるのですが、価格もタイ米の2倍です。彼らもようやく笑顔になって、本当によかったです」

 収穫した米はバンコクのオーガニックショップやタイ国内ラオス国内の飲食店に納入される。今後はコシヒカリの生産を続けながら、ソバや大豆も試験栽培を開始する予定だ。

Japanese RICE Project
https://www.facebook.com/koshihikarichiangmai


【執筆:高田胤臣】

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